約半数の中小企業が「目標なし経営」|計画のない企業は廃業リスクが高い?

経営支援

最終更新日:2025/06/01

はじめに|“行き当たりばったり経営”が通用しなくなった時代

「とりあえず目の前の業務をこなすことで精一杯」「将来のことまで考える余裕がない」
——これは多くの中小企業経営者が感じている正直な声です。

しかし、今私たちを取り巻く環境はどうでしょうか?

・原材料価格や人件費の高騰
・デジタル化やAIの加速
・人手不足と採用難
・融資の審査厳格化

こうした変化の中で、目の前の業務をただ回しているだけでは、経営は維持できません。
だからこそ、明確な“地図”=事業計画が必要なのです。

この記事では、以下のことをお伝えします:

・中小企業の計画策定・運用の実態
・計画の有無で企業の未来はどう変わるのか?
・成功している会社がやっている計画の活かし方

最新データで見る中小企業の計画実態

中小企業庁が発表した調査(2023年)によると、中小企業の事業計画に関する実態は以下のとおりです。

■ 事業計画に関する実施状況(出典:中小企業庁)

項目割合
経営計画を策定している企業53.0%
策定した計画の進捗管理を「十分」実施している企業45.8%
計画の見直し・評価を「十分」実施している企業41.2%

約半数の企業はそもそも「計画なし経営」であり、
さらに立てた計画を“活用”している企業は全体の4割以下にとどまっているのが実態です。

廃業リスクとの関係|計画が未来を守る“保険”になる

「ウチは毎年なんとなく黒字だから大丈夫」と思っていても、それは偶然かもしれません。

事実、2020年版小規模企業白書では、廃業を検討している企業のうち約35.2%が“経常赤字”という結果が示されました。
また、「業績の悪化」「将来の見通しの不安」が主な理由として挙げられています。

さらに、起業後の生存率を見ると…

・創業1年後:72%
・創業3年後:50%
・創業5年後:40%

(出典:経済産業省)

このように、年数が経つにつれて生存率が下がる背景には、“計画性の欠如”があると指摘されています。

なぜ事業計画が必要なのか?|経営に与える5つの効果

事業計画を立てることは、単なる“資料作り”ではありません。
それは経営を進化させる「5つの力」を持っています。

■ 事業計画がもたらす5つの力

  1. 方向性の共有
     社員全体が「どこに向かうのか」を理解でき、まとまりが生まれる。
  2. 意思決定の明確化
     日々の判断に迷いがなくなり、「今やるべきこと」がはっきりする。
  3. 数値管理と改善
     勘ではなく数字で現状を捉えられ、対策のスピードが上がる。
  4. 社外からの信用向上
     銀行や取引先に「戦略的な企業」と認識され、資金調達もしやすくなる。
  5. 人材育成の基盤になる
     目標に向かって動く中で、社員の視野と責任感が育つ。

成功事例|社員の意識が変わる“見える化”の力

事例:大阪府の製造業(従業員10名)

Before:

・計画なし。数字は社長の“肌感覚”
・銀行交渉もその場しのぎ
・社員は指示待ちで改善提案ゼロ

After(6ヶ月後):

・年間→月間売上を見える化
・社員ごとにKPIを設定(例:面談件数、受注率など)
・会議で「予実差」を共有し、改善案を出し合うように
・銀行との交渉もスムーズになり、追加融資も実現

数字の“見える化”が社員の主体性を育て、組織を動かす起爆剤になりました。

よくある失敗パターン|「形だけの計画」にならないために

計画があっても、活用されなければ意味がありません。
次のようなパターンには要注意です。

・理想論ばかりで、現実性のない目標
・「誰が・いつ・何をするか」が書かれていない
・一度立てたら放置。振り返りも修正もない

→ 計画は“使ってこそ価値がある”という意識が重要です。

“使える計画”の条件|3つのチェックポイント

「この計画、ちゃんと現場で使えている?」
そう自問するために、次の3つをチェックしましょう。

数字が明確か?(定量化されているか)
・行動に落とし込まれているか?(KPI設定)
・毎月見直す機会があるか?(定例会議など)

この3点が揃っていれば、計画は紙から“経営の羅針盤”に変わります。

まずはここから|シンプルな計画のひな型

「いきなり完璧な事業計画は無理…」という方も大丈夫。
まずは以下のような簡単なフォーマットから始めてみましょう。

項目記入例
月次売上目標300万円
粗利率目標60%以上
行動KPI(営業)新規面談10件/月
固定費一覧人件費、家賃、広告費など
振り返りスケジュール毎月末に全員で確認する会議を設定

ExcelやGoogleスプレッドシートでOK!
大事なのは「数字を決めて、振り返る仕組み」を持つことです。

まとめ|事業計画は“未来を守る経営の武器”

・約半数の中小企業は「計画なし経営」をしている
・実際に活用できている企業は全体の4割以下
・廃業リスクや成長の差に“計画の有無”が大きく影響
・計画は小さく始めて、毎月見直すことで価値が生まれる

事業計画は、経営の現在地を知り、未来をつくるための武器です。

まずは「月次の目標を決めて、振り返る」。それだけでも、会社は確実に動き始めます。
ぜひ、今日から一歩を踏み出してみてください。

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